日刊自動車新聞社は4月11日、「第1回整備事業者アワード2022」の表彰対象事業者を発表した。業界活性化に向け他の事業者の手本となり得る事例を表彰するのを目的とし、14部門で19事業者を選定した。審査委員長を務めた東京大学生産技術研究所の須田義大教授は「多くの事業者が大変努力をしていることが分かり頼もしく思う」と総評。5月31日に都内で表彰式を開催する。
初回となる今回は、事業規模の大小や数的指標のみでは測れない取り組み内容にも焦点を当て、他社が追随可能な取り組みかどうかを評価で重視した。
表彰事業者と取り組み内容は次の通り。
◇イノベーション領域
【海外展開部門】
・坂井モーター(浜松市東区)
日本とミャンマーの架け橋となり、海外からの整備士確保に取り組んでいる。
【専門性強化部門】
・港北自動車(名古屋市港区)
他社が取り組んでいなかったアライメントビジネスを長年展開し、事業発展している。
・プロモート(新潟市南区)
自動車整備の高度化で重要なエーミングに力を入れている。
【DX部門】
・ツカサ工業(長野県大町市)
OSSやOBD検査、車検証の電子化など、業界の喫緊の課題に正面から取り組んでいる。
・ナリタ(静岡県藤枝市)
DXとアナログをバランスよく取り入れ、車両情報データ活用で故障率を低下させる。
【法人ビジネス部門】
・橋本屋 民間車検場テックス大塚(東京都豊島区)
正確な点検を通してコロナ禍でもリース契約台数を伸ばし、リースメンテナンスを事業として軌道に乗せている。
【新規参入・ユニーク経営部門】
・ビジレンビーテック(大阪市北区)
レンタカー会社の強みを生かしながら、BPやエーミングなどのビジネス拡大に成功。
◇経営改善領域
【顧客リピート部門】
・おまかせオート石川(栃木県那須塩原市)
65歳以上専門店を立ち上げ、購入後フォローを重視。高齢化社会にマッチした取り組み。
・ナオイオート(茨城県取手市)
電話、SNSのフル活用で顧客との接点を切らさず、リピーター作りを体系的に展開。
【事業承継部門】
・竹田オート(大阪府河南町)
子が別会社を立ち上げ親の会社を吸収合併する、事業承継の新たなパターンを示した。
【人材育成部門】
・タカバン(岐阜県高山市)
水性塗料を導入など人材確保の点から労働環境を改善し女性の業界進出に貢献している。
【業務効率化部門】
・アミック(群馬県玉村町)
残業時間の抑制や福利厚生の充実を通して、ESの向上による業務の効率化を進めている。
【保険獲得戦略部門】
・ガリレオコーポレーション(愛媛県松山市)
受付とアドバイザーなど役割分担を明確にし、社員負担を減らす一方で実績を伸ばしている。
【経営再建成功部門】
・高田自工(岩手県陸前高田市)
東日本大震災による被災から事業再開を果たし、地域の復興に貢献している。
◇社会貢献領域
【BCP対策】
・黒田モーター商会(三重県四日市市)
電力の自給、水の自給、衛星電話による通信インフラの確保を進めている。
【地域貢献部門】
・酒井商會(長野県須坂市)
地域の安心・安全に貢献し、独自マスコットキャラクターの施設訪問など取り組んでいる。
・ヤマモト自工(石川県中能登町)
地域密着型経営を行い、地域住民に対して安全で安心な環境を提供している。
【環境対応部門】
・沼津中央自動車(静岡県沼津市)
「環境経営レポート」を冊子にして配布し、「環境意識の輪を広げる」活動をしている。
・前野モータース(岩手県葛巻町)
環境対応に積極的に取り組み、化石燃料にほぼ頼らない工場を実現している。
◇
〈審査委員〉(敬称略)
須田義大(東京大学生産技術研究所教授)
長屋勝利(トライフォース代表取締役)
山本逸郎(自動車ジャーナリスト、もぐら工房代表)
泉山大(自動車ジャーナリスト、プロジェクトD代表)
メカドルゆき(整備士YouTuber)
髙橋賢治(日刊自動車新聞社社長)