日車協連はデータに裏打ちされた溶接の資格制度を新設する
業務効率化や記録の管理にデジタル化が急務

 2022年の整備業界は、業務のデジタル化が進みそうだ。23年1月予定で自動車検査証の電子化が控えており、自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)の利便性もさらに高まる。整備工場の人手不足は深刻で、デジタル活用による省力化は避けては通れない。また、21年にメーカー系ディーラーで相次いだ不正車検を背景に、点検や検査の適切な記録管理にも意識が向く。デジタル技術の活用で、業務効率化やコンプライアンス(法令順守)の確保などにつなげる動きが活発になりそうだ。

 自動車整備技術では、20年4月に施行した特定整備制度への対応が今年も課題になる。施行から4年間は猶予期間が設けられているとはいえ、電子制御装置整備の認証件数は21年11月末で約2万8千件にとどまる。日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)の20年度版「自動車整備白書」の調査によると、8割弱の認証工場が取得に前向きな回答を示している。21年10月には車載式故障診断装置(OBD)点検が始まり、24年10月にはOBD検査も控える。国土交通省の検討会では電子制御装置整備対象装置の拡大の議論も進んでおり、安心・安全なクルマ社会の構築に向けて早期の対応で準備すべき状況にある。

 22年は人材採用も難しくなる。専門学校の入学者数は減少傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の影響で外国人留学生の来日も遅れている。全国自動車大学校・整備専門学校協会(JAMCA)の中川裕之会長によると、専門学校の22年度の外国人入学者数は従来よりも半減する見通し。技能実習や特定技能も含めたコロナ禍の水際対策も刻一刻と変化しており先が読めない。電気自動車(EV)や自動運転車が進展するタイミングでの人手不足は大きな痛手になりそうだ。板金塗装(BP)業界では、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)が、22年4月に自動車補修における溶接管理者の資格制度を新設する。自動車補修で製造業の標準に沿った初めての品質保証の仕組みになるという。BP業界ではエーミング(機能調整)作業でも作業記録を管理する動きがあり、業界の各団体が作業を証明するエビデンス(証拠)確保に力を入れ始めている。

 22年以降は整備業界にも電動化や自動運転化の波が押し寄せてくる。ただ、要となる人材の不足は進行しており、各社の負担が増すばかりなのが実情だ。自動車整備技術の高度化とともに廃業を選ぶ事業者も増えつつある。そうした中ではやはり、デジタル化による業務の効率化などで整備に割く時間を増やすことをはじめ、働き方改革を一層加速させることが求められそうだ。