新たな物流網の構築にドローンが注目されている
鉄道事業者らが貨客混載による農産物の流通を活発化
貨客混載では鉄道とトラック輸送の協業がポイントの一つ(JR北海道提供)

 物流業界では新たな物流インフラの構築が進んでいる。最終消費者までのラストワンマイルをドローンや小型自動搬送モビリティを活用することで、トラックドライバーの負担軽減に向けた取り組みが活発化した。また、コロナ禍で埋まらない新幹線やバスの空きスペースを活用した「貨客混載」事業への参入が相次いだ。輸送の効率化に加え、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献につなげる考えだ。

 ドローン物流で先陣を走るのは長野県伊那市だ。同市はゼンリンと共同で2018年から河川上空をドローン配送航路とし、中心市街地と中山間地域の配送拠点を結ぶ「INAドローン アクア・スカイウェイ事業」の開発、実証を進めてきた。そして11月、買い物支援として自律航行ドローンによる10㌔㍍以上の長距離配送サービスを開始した。

 同時に、地方などに売られている特産物を都市部で簡単に手に入れられるよう、貨客混載が進んだ。京王電鉄は、高速バスを活用した貨客混載による天然鮎の輸送、販売をしている。また、JR西日本岡山支社とヤマト運輸、岡山県高梁市、晴れの国岡山農業協同組合、ジェイアールサービスネット岡山(北條裕介社長、岡山市北区)は共同で、伯備線での貨客混載による農産品の定期輸送を開始した。どちらも空きスペースを有効活用し、地域農産品の認知度向上や環境に優しい物流網の構築につなげる方針だ。

 さらに、ドローンを災害時の救援物資の輸送に活用する取り組みもある。多くの地方自治体が2019年の台風による土砂崩れにより山間地域で孤立集落が発生するなど、災害発生時のライフラインの確保を重要視するようになった。

 秩父市生活交通・物流融合推進協議会(小野田弘士会長=早稲田大学教授教授)は埼玉県秩父で11月、不足している物資をバス、ドローン、自動搬送モビリティを連携させ配送する実証実験を実施した。24年に複数モビリティを活用した配送モデルの社会実装を実現し、構築したモデルを全国展開する計画を進めている。