西武バスの実験用自動運転車両
ウィラーの新交通用専用アプリの画面。乗降ポイントを示している
平和交通本社営業所(千葉市稲毛区)の電気バス用充電装置。行政からの補助はあるものの、導入費用の負担は重い

 昨年は運転手不足が一時緩和したが、コロナ後は不足状態に戻ると見られている。解決策の一つとして、自動運転技術の導入がある。すでにバスは各地で実証実験が行われており、茨城県境町や埼玉県深谷市など一部の地方都市ではすでに乗客を運送している。タクシーもこれまで、大和自動車交通や日産自動車、KDDIなど多くの企業が実証実験を行っている。

 一方、接触事故の頻発により実用化の計画が撤回された事例もある。技術の確立までには、さらなる研究や実験が必要な状況は変わらない。

 境町の自動運転バスは、LINEを使ってバスを呼び出すことができる。また、ウィラーが都内と京都府内などで実験中の新交通サービス「mobi(モビ)」も、専用アプリで車両呼び出しから支払いまで完結するなど、MaaS(サービスとしてのモビリティ)の実用化に踏み出した事例も見られる。コロナ後の観光需要復活が見込まれる今年は、鉄道やIT事業者も加わってMaaSの普及が一層進むものと期待される。

 ハード面ではカーボンニュートラルの機運の高まりで、FCV(燃料電池自動車)バス・タクシーやEV(電気自動車)バスに注目が集まる。国や自治体も補助支援を続けており、今年はさらに導入事例が増えると見込まれる。

 しかしFCVバス・タクシーは燃料(水素)や車両価格が高く、EVバスは事実上、中国メーカーのBYD社の車両しか選択できない欠点がある。「EVで行くのかFCVでいくのか。将来的にどちらでいくか、はっきりさせていただきたい」(東京バス協会の南正人会長)との声もあり、官民で統一した導入方針を決める必要がありそうだ。