日産自動車は7月15日、追浜工場(神奈川県横須賀市)で2027年度末までに車両生産を終了することについてグローバル本社(横浜市西区)で記者会見を開いた。イヴァン・エスピノーサ社長は「将来の日産の成長と持続可能性のために、やらなければいけないことだった。痛みを伴う判断で、私としては従業員に深くお詫びしたい」と話した。その上で、小型SUVの新型「キックス」の生産については、追浜工場で開始した後、段階的に九州に生産を移管する方針を明らかにした。一方、工場跡地の活用については「今のところ、合弁の話や委託生産の話はしていない」と、他社との協業による生産継続については否定した。

日産は、追浜工場の生産終了と、日産車体湘南工場(神奈川県平塚市)への委託生産の終了により、国内での生産コストは2027年度までに15%改善するとの試算結果を示した。国内工場の稼働率は現状6割ほどだが、拠点の統廃合により100%へ高めることを目指していく。

新型キックスは市場投入に向け、追浜工場で生産を始める準備を進めている。一度、生産を始めて操業を安定化させた後、「ノート」「ノートオーラ」を含めて段階的に日産自動車九州(福岡県苅田町)へと移管していく。エスピノーサ社長は「商品の供給を継続させ、予定通りに立ち上げる。その後に移管することで、数年間をかけて円滑に従業員も移管できる」と理由を話した。

また、27年度末に車両生産を終えた後の追浜工場の敷地活用について、エスピノーサ社長は「複数のパートナーと協議している。詳細は秘密保持契約があり、報告できない。さまざまなシナリオを検討していく」とした一方、「今のところ合弁の話や委託生産の話はしていない」と、他社との協業による生産継続については否定した。追浜工場をめぐっては、台湾・鴻海精密工業が活用に向けて日産と協議していることがわかっている。

生産終了に伴う従業員や労働組合との協議は今後、本格的に進めていく。エスピノーサ社長は従業員に向け「責任ある形で、公平にサポートしていく。素早く、社員と組合と協議し、どういう選択肢があるか提案する。移管期において、責任ある形で、(従業員の)家族を含めてサポートする」と語った。