日産自動車は7月15日、追浜工場(神奈川県横須賀市)での車両生産を2027年度末に終了し、「ノート」などの生産を日産自動車九州(福岡県苅田町)に移管すると発表した。日産は経営再建に向けて世界7工場を閉鎖する計画を進める。生産終了に伴う費用は25年4~6月期決算発表時に開示する。

日産は「生産能力やコスト競争力、生産集約による新たな投資発生の有無などの観点から、移管が最も効果的との結論に至った」としている。

追浜工場は、日産の基幹工場として1961年10月に操業を開始。かつては「ブルーバード」「フェアレディZ」などを生産していた。現在は「ノート」「ノートオーラ」の2車種を生産している。年間生産能力は約24万台で、累計生産台数は1780万台以上にのぼる。

受け皿となる日産自動車九州は、2011年に稼働した。約4500人が勤務する。「セレナ」「エクストレイル」などを生産している。年間生産能力は50万台。

追浜工場に現在勤務する約2400人は、27年度末まで勤務を続け、その後の雇用は組合と協議する。追浜にある、総合研究所やテストコース、専用ふ頭などは事業を継続するとしている。

イヴァン・エスピノーサ社長は「簡単な決断ではないが、現状の課題を克服して持続可能な未来を築くための重要な一歩だと信じている。追浜工場は日産の誇りであり、伝統は受け継がれていく」とコメントした。

追浜工場をめぐっては、鴻海精密工業が日産と協業し、電気自動車(EV)の生産を模索していることもわかっている。