日産自動車は、追浜工場(神奈川県横須賀市)で7月から2カ月間、減産することを明らかにした。同工場で生産する「ノート」「ノート オーラ」の国内販売が伸び悩んでいるため。稼働率は現状の約4割から2割程度になる可能性がある。日産は経営再建に向けて世界7工場を閉鎖する方針で、追浜工場の行方が注目されている。
日産は「各工場の生産は販売状況や計画に基づいて常に見直す」と説明。追浜工場での減産については「顧客の納期に影響が出ないよう実施する」としている。同工場の年産能力は約24万台。
ノート、ノート オーラの4月の国内販売は4470台(前年同月比25.7%減)で、1~4月の累計でも前年同期比17.1%減のペースだ。電気自動車(EV)「リーフ」の生産は4月までに終了しており、新型リーフの生産は栃木工場(栃木県上三川町)が担う。
追浜工場は閉鎖対象としても浮上しており、取引先への影響も懸念される。神奈川県や国の出先機関などは6月、「米国関税及び日産自動車生産縮小に関する対策協議会」を立ち上げ、特に中小企業への支援に力を入れる方針を示している。11日に開いた初会合では、黒岩祐治知事や金融機関のトップらが意見交換し、まずは各組織の支援策を整理する方針を決めた。7月以降、実務者レベルのワーキンググループ(WG)を設けて詳細を詰める。ニッパツやヨロズなどの部品メーカーが参画する別の官民協議体とも連携し、支援対象企業の洗い出しを進める。
協議会のまとめ役を担う神奈川産業振興センター(武井政二理事長)の担当者は「影響はサプライヤーに限らず幅広いが、日産からの情報発信に乏しく、先行きが見えない。事業者からも『漠然とした不安』の声が強い」と説明した上で「既存の支援策で対応できない部分は行政へ要望していく。影響に関する調査も定期的に実施し、WGの活動に反映したい」と語った。