日産自動車は5月13日、2027年度までに車両生産17拠点のうち、7工場を閉鎖・統合して10工場にし、人員も2万人を削減する経営再建計画「Re:Nissan」を発表した。パワートレイン工場についても見直し、設備投資を削減、配置転換や生産シフトを調整して固定費を削減する。

日産はグローバルの生産能力が約500万台あるが、24年度の販売台数は335万台にとどまっており、工場の稼働率は低迷している。25年3月期に減損損失を計上、最終損益は6709億円の赤字となった。今後も販売の急激な回復が見込めないことから、経営体制を抜本的に見直す。

車両生産工場を27年度までに17から10へと減らし、中国を除く生産能力350万台を250万台にまで引き下げる。ただ、余力として50万台、ルノーなどのアライアンスで40万台の生産能力は確保する。タイ工場の一部閉鎖、アルゼンチン、インド以外は具体的に閉鎖する工場を明らかにしていない。日本国内の工場を含めて閉鎖を検討する。

日本では、車両組み立て工場として、栃木工場、追浜工場、九州(日産および日産車体)、湘南(日産車体)がある。パワートレイン工場では、いわき工場や横浜工場などを稼働しており、これらが閉鎖・統合の候補となる。

人員は9000人を削減する計画だったが、24年度から27年度までに1万1000人上乗せしてグローバルで合計2万人を削減する。内訳は生産部門が65%、セールス部門が18%、研究開発部門が17%とする。

工場閉鎖や人員削減により、26年度末までに固定費を24年度実績と比べて2500億円削減する。変動費についても先行開発や26年度以降の商品開発を一時的に停止し、従業員3000人がコスト削減活動に取り組むことで2500億円を削減する。

部品調達についても見直す。競争力のある部品メーカーの生産量を集中するなど、発注先を絞り込み、コスト低減を図る。中国のサプライヤーの活用も視野に入れる。

日産は経営再建計画を推進して26年度までに自動車事業の営業利益とフリーキャッシュフローを黒字化する計画だ。

イヴァン・エスピノーサ社長は「業績回復は急務であり、より早く取り組み、赤字から脱却しなければならない。(経営再建計画は)日産が再生に必要なものが揃っており、今日から日産の未来を切り拓いていく」と語った。

(2025/5/13更新)