スバルは8月7日、総額1兆5000億円の電動化関連投資を見直すと発表した。2030年に電気自動車(EV)を世界で60万台販売する計画も先送りする。一方、ハイブリッド車(HV)のトランスアクスルを製造する北本工場(埼玉県北本市)の生産能力を27年に現在の約1.6倍にあたる30万台分に高める。米国の環境規制の見直しなどでEVの販売減速が続くと見ており、HVに投資を振り向ける。
従来計画は30年の世界販売目標120万台のうち、半数をEVが占める想定だった。28年末にはEVを計8車種、展開する想定だ。
ただ、米国ではガソリン価格の高騰などを背景に、HV人気が高まっている。モーターや減速機などで構成するトランスアクスルを製造する北本工場は、現在の年間生産能力18万台から引き上げ、旺盛なHV需要に対応していく。スバルは昨年、モーター出力の大きな「ストロングハイブリッド」を実用化し、米国では主力の「フォレスター」に搭載して今年発売した。
27年度以降に稼働予定の大泉工場(群馬県大泉市)のEV専用工場は、予定通り建設を進める。同社は、一度EV専用ラインとして立ち上げ、その後にHVなどを混流する構想を公表している。
スバルにとって米国は最重要市場だ。今期の世界販売台数は92万台を計画しており、このうち北米での販売は72万5000台を占める見込み。
その米国では、トランプ政権下でカリフォルニア州のゼロエミッション車規制が無効化されるなど、環境規制の見直しが進んでいる。大崎篤社長は「環境規制が緩和方向に来ていることを十分考慮しないといけない。EVの浸透がスローダウンする間、内燃機関系商品を訴求していく」と語った。
スバルでは、変化する事業環境を踏まえた「将来ビジョン」の検討も進めており、今後公表する方針だ。