日産自動車は5月13日、2026年3月期業績見通しで営業利益及び純利益予想を未定にすると発表した。売上高は前期比0.1%減の12兆5000億円を見込む。営業利益はトランプ米政権の関税政策影響を除いた見通しとして収支がトントンとなる一方、関税コストは通期で最大4500億円と見積る。米国生産車種の販売強化など軽減対策により、4~6月でコスト増加分の3割を軽減できると見通しを示した。
販売台数の見通しは、関税影響を除き同2.9%減の325万台とする。中国販売が同18.2%減の57万台と大幅に減少するが、中国以外の地域で同1.1%増えると見込む。
関税影響は、米国に輸出するメキシコ生産車が30万台、日本生産車が12万台。米国販売の45%未満とし、4500億円のマイナスを試算する。関税影響の軽減策として、米スマーナ工場の2シフト体制の維持など、米国工場の生産能力活用をはじめとした現地生産化の検討を進める。
通期の利益見通しの公表を見送った一方で、足元の関税影響を含んだ25年4~6月期の業績見通しとして、売上高は2兆7500億円、営業損失は2000億円を見込む。ジェレミー・パパンCFO(最高財務責任者)は「第1四半期はこの1年間で一番厳しい四半期になる」と述べた。
25年3月期の決算は、リストラ費用なども含め、純損失は6708億円の赤字となった。赤字幅は過去3番目の水準となる。営業利益は販売減少などの影響が3000億円近く押し下げ、同87.7%減の697億円だった。自動車事業におけるネットキャッシュは1兆4984億円、フリーキャッシュフローは2428億円のマイナスに転じた。
(2025/5/13更新)