三菱自動車は5月8日、2026年3月期の業績予想を発表した。売上高は前年比5.8%増の2兆9500億円、営業利益は同28.0%減の1000億円を見込む。4月に発動したトランプ米政権による25%の追加関税で400億円の減益影響を受けるほか、北米での販売減、円高などで減益となる見通しだ。
同社では米国向け車種を日本から輸出している。トランプ関税では、米国で300億円のほか、関税関連で景気後退の可能性があるその他地域で100億円、計400億円の減益を予想する。米国では現時点で約100日分の在庫があり、当面は車両価格も据え置く考えだ。価格転嫁については「他社や市場の状況を見ながら慎重に判断する」(中村達夫副社長)とした。
世界販売台数(小売り)は、前年比4%増の87万8000台に設定した。北米は関税影響や金利の高止まりなどを想定し、同18%減の15万3000台とした。一方、東南アジア(同15%増)や日本(同10%増)、中南米・中東・アフリカ(同10%増)、欧州(同18%増)は、新型車効果などで台数が増える見通し。東南アジアは主力のタイやインドネシアの回復に時間がかかるが、好調なフィリピンで台数増を見込む。
25年3月期の決算は、売上高は前年並みの2兆7882億円、営業利益は同27.3%減の1388億円、当期純利益は同73.5%減の409億円だった。北米でのインセンティブ(販売奨励金)の増加などが利益を押し下げた。
世界販売台数は同3%増の84万2000台。欧州(同11%減)や中国他(同48%減)で台数を落としたが、北米(同14%増)や日本(同6%増)で伸ばした。ベトナムなどが好調で東南アジア(同5%増)も前年超えとなった。
(2025/5/12更新)