コネクテッドカーや自動運転に欠かせない第5世代移動通信システム(5G)。通信速度は4Gに比べ約20倍、遅延は10分の1と言われている。こうした高速大容量や低遅延、同時多接続などによって車同士や車とインフラ、車と歩行者などがつながることで、自動運転やコネクテッドカーにとどまらず、スマートシティの実現などにも活用が広がりそうだ。また、自動車の生産現場での5G活用に向けた実証も広がりつつある。

 国内での5G活用では、自動車メーカーや部品サプライヤーと通信各社が連携して自動運転やコネクテッド技術の実証実験を積み重ねている。

 ソニーとNTTドコモは、海外にあるソニーとヤマハ発動機が開発した自動運転車の遠隔操作に5Gを活用した実証を行った。

 ホンダは、ソフトバンクと共同で5GとセルラーV2X通信システムを活用した事故低減技術の検証を始めた。車両から目視できない歩行者の事故低減などを検証、21年度内に技術検証を完了する計画だ。自動車メーカーが目指す交通事故低減も、5Gで実現に近づくとされている。

 海外では、ステランティスと台湾のフォックスコンがコネクテッドカー向け車載システムの合弁会社「モバイルドライブ」を設立。ステランティスの車両技術とフォックスコンのスマートフォンなどの分野でのノウハウを組み合わせ、スマートコックピットなどの開発を進める計画としている。

 製造現場でも5Gの活用に向けた実証実験が進む。生産性向上に向けた作業のリアルタイムでの可視化、無人搬送車やフォークリフトの自動運転などでの活用が見込まれる。