中古車流通量の落ち込みと相場高騰は当面続く可能性が高い

 新車減産の影響で中古車発生量の減少に見舞われている中古車流通市場。2022年は、例年にも増して「タマ」の獲得競争が過熱しそうだ。

 半導体不足の影響などで自動車メーカーが新車の生産調整を続けたため、新規の中古車発生量の落ち込みが深刻化している。中古車オークション(AA)の出品台数も低水準が続いており、小売店や輸出業者を交えた仕入れ合戦が激しさを増している。

 中古車供給量と需要のバランスがひっ迫した影響で、業者間取引価格は「これほど高かったことはないのではないか」(中古車流通関係者)といわれるほど高騰している。AA最大手ユー・エス・エスでは、台当たり成約金額が90万円オーバーで推移するなど、稀にみる高値水準が続いている状況だ。

 こうした状況もあり、今年は中古車の下取り、買い取りを強化する動きが鮮明になりそうだ。新車ディーラーも重要な収益源の一つとなった中古車小売りを維持するため、新車販売時の下取り率を高める動きを見せている。これまではAAで卸売りしていた低年式車も商品化し、小売りに回す傾向も目立ち始めた。

 また、中古車小売り市場でのルールも厳格化される見通しだ。自動車公正取引協議会(神子柴寿昭会長)は、相場よりも安い価格表示で集客し、高額なオプションの付帯を購入条件にする販売手法の一掃に向け、諸費用も含めた総額表示を義務付けるルールを用意する。すでに一部の大手専業店への指導などを行っており、年内にも公正競争規約として運用が始まる見通しだ。