日産「アリア」は発表から2年半を経て間もなく市販開始
2社が共同開発したトヨタ「bZ4X」とスバル「ソルテラ」
VWの「ID.」シリーズも日本上陸(写真は「ID.4」)
フィアット「500e」は唯一無二のデザインを踏襲
日産の軽EVコンセプトカー「IMk」
全面改良予定のトヨタ「ノア」「ヴォクシー」
ホンダ「ステップワゴン」

 国内自動車メーカー各社が満を持して新型電気自動車(EV)を投入する2022年。EVシフトで先行する輸入車勢が日本市場でも多様なEVを展開する中、ホームマーケットでの面目躍如に注目が集まっている。主力と見込まれるのは日産自動車「アリア」やトヨタ自動車「bZ4X」、スバル「ソルテラ」など、SUVタイプのボディーに大容量バッテリーを積み、航続距離を確保した車種だ。一方で、日産は三菱自動車と組んで軽規格のEVを投入する計画を示している。日常の足としての使い勝手を提案できれば、ガラパゴス市場とも評される軽領域のゲームチェンジャーとなり得る。輸入車勢もEV投入の手を緩めず、新興ファブレス企業による低廉なEVも続々と参入する。市場はどのように移ろい、ユーザーの消費体験はどのように変わるのか、登場予定の車両を通じて考える。

SUVの看板モデル

 日産がアリアを世界初公開したのは、19年10月の第46回東京モーターショー。およそ2年半を経て、22年3月下旬に正式発売することになる。航続距離は約470㌔㍍から、価格は539万円からで、「リーフ」に次ぐ本格乗用EVとしてどこまで存在感を高められるかが問われる。

 bZ4X/ソルテラは22年半ばに登場予定で、ボディーサイズや航続距離などはアリアに近い。価格は未公表ながら、発売された暁にはアリアの対抗馬となりそうだ。

 これらの車種に共通するのは、大柄なSUVタイプのボディーでバッテリーの積載性を確保した点だ。EV展開で先行する欧州勢も、メルセデス・ベンツ「EQA」「EQC」やアウディ「e―tron(イートロン)」、ボルボ「C40」など、SUVタイプの車種を軸にラインアップを展開してきた。折からのSUVブームも追い風に、EVのスタンダードとして定着しそうだ。

輸入車勢は多様化

 輸入車勢ではフォルクスワーゲン(VW)も、22年中に「ID.」シリーズの国内第1弾EVを投入する計画。これまでにも「eゴルフ」の販売例はあるものの、EV専用シリーズとしての展開は初となるだけに、市場定着の試金石となりそうだ。

 BMWはクーペタイプの「i4」を導入する。アイポイントの低いスポーティーな外観は、SUV調のEVが割拠する中で大きな差別化要素となりそうだ。フィアットも「500e」を導入予定で、ファンの根強い伝統的な外観をEVでも再現した。EV展開で先行する輸入車市場は旗艦車種の展開が一巡し、ユーザーの嗜好に沿った個性派EVを充実させていくフェーズに差し掛かった格好だ。