国内市場でも近い将来、電気自動車(EV)をはじめとするゼロエミッション車が主体となる見通し。その場合、取得から保有、燃料を含め9種類もの税金が課されている自動車関係税制も抜本的な見直しを迫られることになる。

 乗用車の自動車税は排気量によって課税額に差がある。燃料課税を含め、現行の税体系は内燃機関車を前提とした仕組みになっている。本格的なEV時代に現行の税制で対応するのは難しい。今後、電動車を前提とした新たな税体系の導入が議論される可能性が高い。

 使用段階での脱炭素性能に注目が集まりがちなEVだが、電池の生産、部材の調達、リサイクルなど、ライフサイクル全体でみると温室効果ガスの排出量が少ないとは言い難い。電源構成が石油・石炭による発電比率の高い国・地域ではEVの走行によって間接的に二酸化炭素(CO2)を排出していることになる。EV時代の自動車関係税制では、さまざまな観点で環境性能を評価し、いかに公平、適正に課税できるかがポイントになる。

 現行制度では、内燃機関車と比べて割高な電動車の普及を促進するため「エコカー減税」などの優遇策が採られている。EVの国際競争力を保つためにも、こうした支援策は継続されるとみられるものの、EVが市場の中心となれば優遇一辺倒では財政が厳しくなる。いずれかのタイミングで、優遇策を見直すことも必要になりそうだ。

 与党は現行のエコカー減税の期限を迎える2023年4月を見据え、自動車関係税制を抜本的に見直す方針を掲げている。今夏から12月にかけて、EV時代を想定した自動車関係税制の議論が熱を帯びると見られる。