日産自動車は8月22日、軽自動車「ルークス」をフルモデルチェンジすると発表した。今年秋ごろの発売を予定する。現行モデルで設定していたマイルドハイブリッド車(HV)を廃止し、160万円台(消費税込み)からの価格帯を維持しつつ、先進安全装備などで快適性を高めた。日産が新型軽を投入するのは、2022年6月発売の電気自動車(EV)「サクラ」以来、3年ぶり。激戦の「スーパーハイトワゴン」市場で独自価値を訴求する。
5月の経営再建計画発表後、日産が新型車を国内に投入するのは今回が初めてとなる。
新型ルークスは、09年発売の初代から4代目にあたる。全面改良は5年半振り。スーパーハイトワゴンは、軽の新車販売の5割超(日産調べ)を占める激戦市場で、後席スライドドアや室内の広さに加えて、強みの先進技術による安全性と快適性を武器に、販売拡大を目指す。
軽自動車初となる12.3インチ大型ディスプレーに、車体下の映像を合成する「インビジブルフードビュー」を投影するほか、四隅のレーダーで死角の車両を検知する機能など、安全性を高めた。快適性では米グーグルのアシスタンス機能やアプリケーションを追加できるコネクテッド機能を搭載したほか、後席座面の生地やシート形状も見直した。
エンジンは、マイルドハイブリッドを廃止し、自然吸気(NA)とターボを設定する。先進装備を搭載しながら車両価格を抑える狙いがある。燃費は、エンジンや変速機の抵抗を減らすなどして、現行車同等(WLTCモードで17.5km/L以上)の水準の維持を目指す、としている。
日産は24年度、国内で46万台を販売し、そのうち軽が約4割の18万台を占めた。ただ、ルークスは現行車の発売直後の20年度こそ9万8000台を販売したが、24年度は6万9000台に減少した。商品企画本部の田中裕樹チーププロダクトスペシャリストは「クルマそのものの出来や価格とのバランスは最善を尽くせたと思う。現行ルークスからどれだけジャンプできるかだ」と販売増に期待する。
23日から全国9カ所で先行展示を始めるほか、今後はショッピングモールなどで展示し、顧客との接点づくりに取り組む。
国内マーケティングとセールスを担当する杉本全執行職は「日産復活の鍵を握る重要なクルマだ。競争激しいスーパーハイトワゴンのカテゴリーで、新しい軽のスタンダードとして自信を持って投入する」と話した。