安心・安全の提供のため、資格取得にも積極的に取り組む
辰巳寛一営業部長

 ビジレンビーテック(西村孝代表取締役、大阪市北区)は、レンタカー業界から整備・板金塗装業界に新規参入し、創業8年目を迎える。すべての工場代車に、同社が整備した安心、安全、快適なレンタカーを用意し、レンタカー事業者の強みを生かして顧客からの支持を得ている。

 同社の前身は1981年に設立したレンタカー会社で、保有車両の品質向上と内製化によるコストカットを目的に発足した。一般的に、整備工場が修理期間中の代車を用意し、増車、レンタカー登録を行う延長上でレンタカー事業に参入する事例は少なくないが、西村社長は逆転の発想で、2013年に同社をスタート。まず、当時1500台保有していたレンタカーをすべて自社工場で整備した。翌年からは、「代車はすべてレンタカーをご用意」を切り口に告知営業を開始した。いわゆるサービス代車は「古い・汚い・臭いなど修理期間中の間に合わせであり、整備不良も少なくない」と辰巳寛一営業部長は指摘する。同社が代車で使用するレンタカーは安心・安全な提供のため、地域の正規ディーラーから新車で仕入れており、車歴が明確だ。高濃度オゾン発生機による車内の除菌作業も顧客の要望によって実施している。貸出前の車内除菌は、コロナ禍以前の03年より行っており、顧客を第一に考え、快適な乗り心地の代車を提供している。

 「お客さまに気持ち良く利用してもらうためには、従業員の労働環境も重要だ」(同)とし、従業員が働きやすい環境づくりにも注力する。フロント、営業、メカニックのほか、納車や引き取り、洗車などを行うロジスティクス部門を完全分業化することで業務を効率化し、残業はほぼ発生していない。同時に、「整備事業者の社会的地位向上も重要視している」(同)と、業界の課題を強調する。車両価格と整備費用、保険料に基づいて定められるレンタカーの料金設定に比べ、板金塗装の技術料の扱いを含めて整備料金設定のあいまいな点に、レンタカー事業からの参入だからこそ気付いたという。そこで、同社の全メカニックは有資格者とし、資格取得の支援も行っている。

 一方で設備面では、きれいに修理することは当然ながら安全な車に修理することが最重要とし、19年、ビーテックエーミングセンターを設立。現在は毎月20~30台の入庫だが、今後は地域の整備、ガラス事業者からの外注が増加していくと見込む。

 同社はレンタカー事業で培った強みと合わせて、次世代整備に対応した人材育成と設備投資により、「安心・安全」に対する信頼で顧客から選ばれる企業を目指す考えだ。

 〈受賞者コメント〉

 辰巳 寛一営業部長

 記念すべき「第1回」の受賞事業者に選ばれたことは大変栄誉で、勇気と自信、誇りを与えていただいた。他の産業に追随して、自動車整備業のさらなる地位向上について考えるきっかけとなり、業界の活性化に貢献できれば幸いだ。

(下岸 可憐)