約25年前に開設した「中部アライメントセンター」
小野勝茂代表取締役社長

 整備工場にふさわしい技術、サービスを提供する―。港北自動車(小野勝茂社長、名古屋市港区)は、小野社長が約10年間のディーラー勤務を経て、1976年10月に創業した。整備の技術と知識に自信のあった小野社長。同業他社との競合を避けるべく、EFI・EGI(電子制御式燃料噴射装置)の故障診断整備にいち早く取り組むなど、車検整備に依存しない独自の経営路線に舵を取った。

 ホイールアライメントビジネスとの出会いは1980年代。新たな整備のビジネスを見つけようと参加した、世界最大級のアフターマーケット展示会である米SEMAショーのツアーだった。ツアーの道中に立ち寄った、レストランの向かいにあったガソリンスタンドのピットでのアライメント計測のシーンが運命の出会いだ。小野社長は「言葉の壁がありわからないながらも、身振り手振りで話を聞いた」と振り返る。 

 88年4月にホイールアライメントビジネスを開始。開始当初はアライメントの調整精度を向上させることに注力した。同業者からの紹介による入庫が中心で中古車事業者の依頼が多く、年間200台程度の入庫で推移した。また、地元の業界雑誌で告知を行い、入庫台数を地道に増やした。1台1台データを収集し、アライメントの調整技術を高めることで、調整作業の自信を深めた。

 「中部アライメントセンター」を開設したのは約25年前。まだ当時はディーラーや同業者からの入庫が多かったが、個人客にアピールするためのネーミングにした。アライメントの専門店でサービスを受けられると印象づけたかったからだ。アライメントの専用ピットに加え、ホームページを開設したことも功を奏し、年間600台の水準に達した。

 その後もホームページのリニューアルを行い、2007年にホイールアライメントの入庫台数は年間1千台に到達した。作業前の丁寧な打ち合わせや作業後のレポートなども顧客に評価され、20年2月に累計2万台を達成した。

 近年は年間850~900台で推移し、直需が半数近く占めるようになった。小野社長は「自社の評価を落とさない姿勢が大事」と気を引き締めるも、6月には累計入庫台数が2万2千台に達する見込みだ。今やアライメントビジネスは整備売り上げ全体の3分の1を超え、収益の柱となるまで成長した。

〈受賞者コメント〉小野勝茂代表取締役社長

 自社の取り組みがどのように見られ、評価されるのか、自らの集大成として整備事業者アワードに応募した。受賞の一報を聞き、今まで頑張ってきた甲斐があったと思った。成長は今がピークとみているが、販売は伸びる傾向にあり、提案型営業で車両や保険の販売ボリュームを伸ばしたい。これからも社員のモチベーションを維持するとともに、お客さまの関心を引きつける取り組みを続けていきたい。

(大木 竜太)