社員不満足解消など、取り組みを継続的に実施する環境を整えている
福島勇人代表取締役社長

 大型車整備などを手がけるアミック(福島勇人社長、群馬県玉村町)は、従業員満足(ES)の向上を業務効率化につなげている。残業時間の削減や福利厚生の充実、入庫管理でのデジタルツール活用。「社員の不満足を解消する」(福島社長)ことを念頭に置いて、一過性ではなく取り組みを継続的に実施する環境も整えている。

 過去には社内アンケートの低調な結果や中堅整備士の連鎖退職を経験した。長時間残業が習慣で、それに見合った残業代も支払っていた。しかし、日に日に社員は疲弊していった。整備士中心に面接で意見を聞き取り、残業時間の抑制を決めた。顧客を回って、入庫調整の依頼を率先して進めた。

 売上高は残業時間を抑制しても落ち込むことはなかった。残業が前提だった時と比べ、日中の効率性が改善したためだ。売上高(作業工賃)が前年同月を上回った時は、手当として給料に上乗せする仕組みも採り入れた。「コスト削減のために残業時間を抑制した訳ではない」(同)を社員に伝えるメッセージだった。

 福利厚生では、誕生月の食事券配布や鰻重(土用の丑の日)、クリスマスケーキなどの配布や8月の暑気払いなど、季節に応じたイベントを開催している。熱中症対策として夏の期間は飲料自動販売機を無料にするなど、社員アンケートを基にした取り組みを速やかに進めてきた。一般的に良いとされる施策だったとしても、アンケート結果で不評であれば中止も即断即決した。

 経営施策でも福利厚生でも「かかわる社員の熱量が出せないものは、意味を持つものとはならない」(同)とみている。新施策を導入する狙いは、従業員に掛かる負担や作業の無駄を減らすことが目的となる。デジタルツールの活用では、ウェブカメラを利用して入庫管理のホワイトボードを遠隔で確認したり、日々作成するメモをビジネスチャットで共有したりするなど簡易的な取り組みになる。

 将来的には工程管理などを完全にデジタルへ移行することを計画する。その際には作業記録が追跡可能な利点を生かすと同時に、社員の効率的な仕事を評価し、給料に反映できる仕組みも取り入れる考えだ。課題解消で利益に結び付いたものを給料や福利厚生で還元するプラスのサイクルの構築を目指していく。

 〈受賞者コメント〉

 福島勇人代表取締役社長

 第1回目の開催で素晴らしい賞をいただき嬉しく思う。他部門の受賞企業の取り組みも刺激になった。正直、業務効率化への道はまだ発展途上だと考える。1、2年先には今以上にレベルが高いと評価してもらえる施策へと突き詰めていく。社員には今後も「どうすれば自らの仕事が楽になるか」など、自由な発想によるアイデアを募り、それらを具体化する中で業務効率の改善につなげていければと考えている。

(村上 貴規)