ダイハツ工業は電動車いす市場に参入する。大阪・関西万博の会場内移動用として提供している「eスニーカー」をベースとした電動車いすを8月下旬に発売する。免許返納後や大学構内などの移動手段としての活用を見込む。電動車いすはスズキやトヨタ自動車、WHILL(ウィル、杉江理社長、東京都品川区)などが手掛けている。高齢化の進行や技術の進化で電動車いすが活躍する余地が広がるとみて、ダイハツも参入する。

 電動車いすのベースとなるeスニーカーは、全長1390×全幅645×全高985㍉㍍で、車両重量は72㌔㌘だ。障害物検知などの安全機能も備える。万博には150台を提供している。

 価格は明らかになっていないが、スズキ「セニアカー」は41万8千円から、トヨタ「C+walkS(シーウォークエス)」で49万8千円から、ウィル「モデルS」で25万7千円だ(ともに非課税)。

 電動車いすは、最高速度が時速6㌔㍍未満なら道路交通法上は歩行者と同じ扱いとなる。免許が要らず、免許返納後の高齢者などの移動手段としての利用の増加が見込まれる。

 電動車いす安全普及協会によると2024年度の国内の電動車いす(ハンドル形)は1万4633台(前年度比5.9%減)。直近5年間は1万5千台前後で安定推移し、ウィルの電動車いす型モビリティを取り扱う新車販売店も増えている。

 ダイハツは軽自動車や小型車に加え、電動車いすもラインアップに加えることで、高齢者や移動制約者などの需要に応えていく。