公正取引委員会(公取委)は10月31日、トヨタ自動車東日本(TMEJ、石川洋之社長、宮城県大衡村)が金型や補給部品の保管に関して下請代金支払遅延等防止法(下請法)に違反していたとして、再発防止を勧告した。また、TMEJの親会社であるトヨタ自動車には、金型等のマニュアル見直しを含めた改善を申し入れた。
公取委によると、同社は遅くとも2024年4月1日以降、下請け会社10社に対して、長期間発注を行わないにも関わらず、440個の金型等を無償で保管させていた。金型等の所有権は下請け会社にあるものの、廃棄にはTMEJの承諾が必要だった。違反対象の金型等のすべてが下請け会社所有である案件は、全国初。
同社はまた、下請け会社と協議の上、部品が製造打ち切りになるまでに必要と考えられる数を一括で製造させる制度を採っていたが、遅くとも23年8月1日以降、7社に対し、部品の製造完了の報告を受けたにもかかわらず、部品777個を受領せず、無償で保管させていた。
金型等と補給部品の無償保管で「勧告」、部品の受領拒否が「指導」にあたる。同社は対象となる12社に金型および部品の保管費用に相当する941万5337円をすでに支払っており、未受領の部品をすべて受領し、部品代金に相当する93万1032円を支払っている。
公取委は、親会社のトヨタに改善を申し入れた。同社の作成したマニュアルには、部品の一括生産あるいは部品製造の打ち切り後に金型を廃棄するといった運用方法が示されている。マニュアルに強制性はないものの、無償保管の原因になっていると公取委は判断した。
金型の無償保管をめぐっては、今年に入ってから東京ラヂエーター製造、中央発條、愛知機械工業(和田民世社長、名古屋市熱田区)、カヤバなどが勧告を受けている。公取委はまた、11月にも三菱ふそうトラック・バスに勧告を行う方針を明らかにしている。
トヨタは、TMEJへの勧告を受け「要請を真摯に受け止め、グループ会社も含めて再発防止に取り組むとともに、引き続き、法令遵守を徹底する」とコメントした。


 
         
         
         
         
         
        
 
           
           
           
           
           
           
           
           
           
              
              
              
              
              
              
              
              
             