オンライン会見で説明する松井靖副社長

オランダに本社のある中国資本の半導体メーカーのネクスペリアの車載半導体などの輸出が停止している問題で、デンソーの松井靖副社長は10月31日、影響はほぼ受けていないことを明らかにした。ネクスペリア製半導体の不足による「自動車生産への影響は限定的」(自動車メーカー幹部)との見方が強まっている。

ネクスペリアは世代の古い汎用の車載半導体を手がけており、シェアも高い。欧州で製造したウエハーを中国に輸出してチップを国内外に出荷している。中国当局の指示で10月上旬から輸出が停止されており、車載半導体の不足による自動車生産への影響が懸念されている。

デンソーでは現在、ネクスペリア製半導体の在庫を確保できているため、輸出停止の影響は受けていないという。加えて、デンソーが採用しているネクスペリア製半導体の99%が汎用品のため、他社製品への代替えが可能という。残りの1%についても、一部の設計変更で代替えできるか検討しており、今後、納入先と品質確認を進めていくという。

また、松井副社長は「現在、製品の納入に遅れは出ていないが、(他社も)遅れがないようにしないといけない」と、他のサプライヤーも代替品への切り替えを進めていけるように協力するなど、ネクスペリア製半導体を採用している自動車の生産に影響が出ないようにしていく方針を示した。

デンソーは今期の業績見通しについて為替変動などで修正したものの、ネクスペリア製半導体の影響は織り込んでいないとしている。

(2025/10/31更新)