半導体の供給不足が現実味を帯びてきた…(イメージ)

オランダの中国系半導体メーカーであるネクスペリアの出荷停止問題について、日本の自動車メーカーにも影響が及び始めた。ホンダは、ネクスペリアの出荷停止を受けて、10月28日からメキシコでの四輪車生産を停止したことを明らかにした。ネクスペリアの半導体を使用する一部の部品で供給不足が発生しているという。

メキシコでは小型SUV「HR-V」や、同車をベースとしたアキュラ「ADX」などを生産している。あわせて米国とカナダでも生産調整に入った。減産規模などは明らかにしていない。

また、日産自動車も29日、ネクスペリアの出荷停止問題を受けて、影響の調査と在庫確保を進めていることを明らかにした。チーフパフォーマンスオフィサー(CPO)のギョーム・カルティエ氏は、在庫状況について「グローバルで今のところ11月第1週までは大丈夫そうだ」としながらも、「グローバルに波及する可能性がある。どのくらいのインパクトが有るか検証しなければならない」と話した。

日産は29日朝も関係者間で影響調査に向けたミーティングを実施するなど、対応を急いでいる。これまでにティア1サプライヤーへの影響は把握したものの、「ティア2以降は評価検討中だ。めどをつけるために集中的に活動している」(カルティエCPO)と話した。コロナ禍後に発生した半導体不足の際の対策ノウハウを活かし、意思決定の迅速化など、対応を急いでいるという。

ネクスペリアは、旧フィリップスグループ系で現在は中国資本の半導体メーカー。主に旧世代の車載半導体を中国工場で製造しており、世界中の主要な自動車メーカーと取引がある。

ただ、米国政府が安全保障や外交政策上の観点から企業の輸出管理規制を強化したことを受けてオランダ政府が「ネクスペリアが安全保障に関係する半導体製造技術を中国に移転する可能性がある」として同国法令に基づき同社を管理下に置いた。これに中国当局が反発。ネクスペリアの中国子会社に対して車載半導体の一部について輸出禁止を指示し、海外の自動車メーカーへの出荷が止まる事態に発展している。

ネクスペリアの供給問題を巡っては、日本自動車工業会(自工会、片山正則会長)も「会員各社のグローバル生産に深刻な影響を及ぼす事態である。自動車メーカーと部品メーカーが緊密に連携して対応に当たっている。関係各国により迅速かつ現実的な解決がなされることを期待する」との声明を発出している。