公正取引委員会(公取委)は10月28日、下請け企業に金型の無償保管を強いたことが下請法違反にあたるとして、三菱ふそうトラック・バスに対し、11月にも再発防止を求める勧告を行う方針を明らかにした。該当の下請け企業は50社以上、金型は5000個超に上るとみられる。自動車業界では、発注企業が下請け企業に対して金型を無償保管させる違反行為が多発しているが、自動車メーカーが勧告を受けるのは今回が初めてとなる。

今回の問題は、中小企業庁が実施した調査によって発覚した。三菱ふそうは「公取委による調査を受けており、全面的に協力している。調査中の事案であるため、詳細については回答を差し控える」とコメントした。公取委の担当者は「金型の無償保管が問題になっている中、完成車メーカーで改善がみられなかったことは遺憾」と述べた。

金型の無償保管をめぐっては、今年に入ってから東京ラヂエーター製造、中央発條、愛知機械工業(和田民世社長、名古屋市熱田区)、カヤバなどが勧告を受けている。受注した下請け企業が金型を無償で保管することが長年の商慣行となっており、発注側の意識改善が急務となっている。