車載センサーなどを手掛ける芝浦電子は6月13日、台湾の電子部品大手、国巨(ヤゲオ)が進めている同意なきTOB(株式公開買い付け)をめぐり、ヤゲオ側と18日に面会すると発表した。ヤゲオ側の文書を前日付で受領しており、ヤゲオおよびミネベアミツミによるTOBについて、引き続き「真摯に検討を行う」としている。
ヤゲオの文書は、芝浦電子側からの質問への回答として届いた。
ヤゲオは、経済産業省からの質問及び情報提供の依頼の内容について「当事者以外の第三者に開示することは実務上許されていないと理解しており、控える」と回答した。同省との協議が着実に進んでいると判断した根拠・理由や、協議状況の詳細についても「貴社に対する開示も含めて、控える」とした。
TOB期間の末日までに外為法の手続を完了できると考えている根拠については、NDA(秘密保持契約)に基づき、芝浦電子側に直接回答する考えを示した。
芝浦電子はミネベアミツミに対し、TOB価格の再検討の意向について改めて確認しているが、13日時点では、回答を受領していないという。
芝浦電子は「ヤゲオの回答や、18日に実施予定のヤゲオとの面談などを通じたシナジーの検証内容、ミネベアミツミによる価格引き上げの意向などを総合的に勘案し、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、引き続き真摯に検討をする」としている。
ヤゲオの陳泰銘(ピエール・チェン)会長は6月7日、日刊自動車新聞など一部メディアのインタビューに本社(台北近郊)で応じ、芝浦電子側と近く面談するとの見通しを明らかにしていた。また、ミネベアミツミとのTOB合戦の中で、外為関連の経産省などによる審査結果次第では、TOBの撤回を迫られる可能性があるとの指摘に対しても「経産省とのやりとりは順調だ」とクリアランスに自信を示しつつ、「現状のTOB価格(6200円)は妥当と考える」「当社は自己資金でまかなえる」と、ミネベアミツミ側がこれ以上引き上げてくる可能性は低いとの考えを示唆していた。
ただ、ヤゲオの審査の動向によっては、さらなる動きが見られる可能性もあり、TOB期間の延長も可能なことから、期間終了を控えさらに神経戦が激しくなりそうだ。
今回のTOBは、円安などを背景に製造業をめぐる外資による買収や、それへの対抗策が活発化する可能性が指摘される中、その先駆けともなりそうな大型案件だ。18日に見込まれる会談や、その後の芝浦電子、ヤゲオ、ミネベアミツミの反応などが注目される。