オンライン取材に応じる内田誠社長(左)と、スティーブン・マー最高財務責任者(右)

日産自動車は4月19日、2024年3月期の営業利益見通しを2月に発表した前回見通しよりも900億円少ない5300億円に下方修正したと発表した。販売台数が前回決算時の計画に届かなかったことに加え、インフレの影響を受けるサプライヤーへの還元などで想定よりも利益が下がった。

売上高は4千億円少ない12兆6千億円、当期純利益は200億円少ない3700億円、販売台数は11万台少ない344万台に下方修正した。

為替レートが想定よりも増益方向に推移したが、能登半島地震や紅海の輸送問題による生産制約を受けたほか、ハイブリッド車(HV)人気でガソリン車の販売が伸び悩んだことで台数が計画に届かなかった。内訳は明らかにしていないものの、為替と販売が差し引き300億円の減益要因となった。

一方、サプライヤー関連費用と投資の拡大が600億円分の減益要因となった。このうち500億円はサプライヤー支援の費用。インフレの影響を受けるサプライヤーへの還元に加え、中期経営計画「アーク」を策定するにあたり、投入予定のモデルの部品発注量が引き下がる見通しになったため、その影響の一部を補填するという。

内田誠社長は「今回の修正は下請法違反とは関係ない」とした上で、「中計の達成に向けてサプライヤーとの連携を強化し、将来に向けた成長をともに目指す」と強調した。