【ルノー出身者の招へい】
ルノーは大株主であるフランス政府の意向もあって、日産との経営統合を求めている。このため、ルノーやフランス政府の意向を反映しやすいルノー出身者を日産のトップに据えることを求めると予想される。
日産とルノーの協定書である「改定アライアンス基本合意書」(RAMA)では、ルノーは日産のCEOまたはCOOを派遣できる取り決めになっている。ゴーン元会長の不正が発覚し、ガバナンスの立て直しを優先したことから、ルノーは日産のCOO以上を派遣しない代わりに、スナール会長が日産の取締役副議長に就くことで折り合った。日産が新しい経営体制に移行することから、ルノー側がRAMAの規定を再び持ち出し、COO以上のポストを要求する可能性がある。
スナール会長は以前、日産が、ガバナンス改革として指名委員会等設置会社へ移行する議案について、ルノーの意向が反映されていないとして、株主総会で議案の投票を棄権することを表明した。その後、ルノーのボロレCEOが日産の監査委員会の委員に就くことで妥協した。こうした経緯があるだけに、日産の次期トップ選びでもスナール会長が強硬な態度に打って出る可能性は否定できない。スナール会長は指名委員会の委員でもある。日産社内の昇格でも、社外からの招へいでも、新しいトップの選任には、筆頭株主であるルノーの賛成が必要不可欠だ。
ルノー出身者の選任は、独立性を脅かされるリスクが高まることから、日産側が反発すると見られる。不正が相次いで発覚したゴーン元会長はルノーが派遣したこともあって、ルノー出身者が日産のトップに就くことに対する社内の抵抗は強い。

「誰が引き受けても問題が残る」と見られる日産のトップ選び。指名委員会が1カ月半の検討で、どんな結論を出すのか。関係者はその動向に注視している。