矢崎総業(矢﨑陸社長、東京都港区)は14日、車載電池のリユース事業に参入すると発表した。独自に開発する蓄電システムにより、劣化状態の異なる使用済み電池が混在していてもリユースが可能となる。実証試験を進めており、2030年までの事業化を見込む。

 同社が開発を進めるのは、蓄電システムの基幹部品「バタフライ」。独自制御アルゴリズム(計算手順)を搭載し、電池の状態に応じて最適な電力制御を行い、安定した電力需給を実現する。家庭向けや産業用、系統用など幅広い適用が可能という。

 実証では、劣化状態の異なる電池を運用する際の異常検出や自動停止、異常部を切り離してシステム全体の運転を継続するといった機能の有効性評価を進める。実証を通じて得られたデータを基に、産業用や系統用などの蓄電システムでの実用化を目指す。

 電気自動車(EV)の普及に向けて、使用済み電池のリサイクルや再利用など、適切な処理が大きな課題となっている。特にさまざまな環境で使用された電池は、劣化状態が異なるため再利用が難しく、効率的な活用方法が求められている。

 同社は蓄電システムを通じて「車載電池を再利用し、コスト削減と環境負荷低減に貢献する」としている。