損害保険ジャパン、SOMPOリスクマネジメント(中嶋陽二社長、東京都新宿区)、日本カーソリューションズ(NCS、高島俊史社長、東京都千代田区)の3社は、法人向けの中古電気自動車(EV)のリース商品の実現に向けた協議に入った。中古EVの再販において、最大の課題となっている駆動用電池に保証を付けるのが最大の目玉だ。商品化の時期については現時点では未定だが、3社によると実現すれば業界で初めてになるという。
初度登録から最大10年間、駆動用電池の性能保証が付いたリース商品を目指す。一般的なEVの駆動用電池の保証期間は故障が5年、性能が8年となっている。これまではメーカーの保証期間を超えた駆動用電池のリスクは、ユーザーが負担することになっていた。このリスクを保険で補償する。さらに、リース契約時や定期点検のタイミングで、電池の状態を診断する。新規契約のほか、再リースも対象にする。
取り扱う車両は中古EVをメインに想定しているが、新車のEVも対象にする方針だ。
損保ジャパンは保険の設計、SOMPOリスクマネジメントが電池リスク評価やサービス体系づくりや支援、保険代理店の役割を担う。NCSはこれらをまとめてパッケージにした「駆動用バッテリー保証付EVメンテナンスリース」の商品提供を行う。
具体的にはNCSがEVを利用している顧客に対し、再リースのタイミングでこのサービスの導入を提案する。さまざまなデータや意見を集めた上で、実際の商品化の時期を決める。将来的にはリース後の駆動用電池の再利用・リサイクルの流れをつくることを検討していく。
EVへの関心は世界的に高まっているが、ガソリン車に比べて車両の価格が高く、電池の経年劣化による残存価値の低下も大きく、リース料が割高になる傾向があった。費用を抑えるには中古EVが適当だが、電池の性能をどのように担保していくかという課題があった。この解決のために、保険や電池評価にノウハウを持つSOMPOグループの知見を生かす。
損保ジャパンとNCSの親会社の東京センチュリーの間では、中古EV電池の品質保証サービスの事業化に向けた研究などで、一定のコミュニケーションがあった。こうした関係も、今回の協議入りを後押しした。