個性的な車種が好調だ(アウトランダーPHEV)

 三菱自動車は、2030年度に国内販売台数を24年度実績の1.5倍となる約18万台に増やす。軽自動車や「RVR」「パジェロ」などの新型車を相次ぎ投入するほか、都市部では新車販売拠点、中山間地では業販店網をそれぞれ拡充する。人手不足は採用強化のほか、デジタル投資により、生産性を高めることで対応していく考えだ。電動車やSUVに強いブランド力を生かし、国内市場で着実に収益を稼いでいく。

 三菱自はRVブーム時に年間で約80万台を売り、国内3位のシェアを持っていた時期もあったが、その後はリコール(回収・無償修理)隠し問題や商用車部門の分離、燃費不正などの影響で、足元の国内販売は年間10万台前後で推移している。しかし、「アイミーブ」で培った電動車技術や、もともと得意としていた四輪駆動技術を生かし、24年度は前年度比6%増の11万7463台を売るなど、販売は回復基調にある。前年プラスは4年連続だ。

 「デリカD:5」や「アウトランダー」のほか、「トライトン」や軽自動車「デリカミニ」といった個性的な車種が好調だ。仮に約18万台を売れば、デリカD:5や「ランサーエボリューション」が人気だった09年度(約17万台)以来、約20年ぶりの水準になる。

 目標達成に向け、25年度は同1割増の約13万台と5年連続の増加を狙う。〝三菱自らしさ〟を具体化した新型車を相次ぎ投入する一方で、30年度へ向け、直販・業販とも販売網の拡充を進めていく。

 都市部や郊外では新車店舗を増やす。好立地が限られるため、コンビニエンスストアの居抜き物件なども検討対象にする考え。この場合、整備工場は別の場所に設けたり、近隣店舗で対応したりする。中山間地では、新規の業販店を積極的に開拓するほか、現在の業販店にも三菱車の取り扱いを増やしてもらうよう働きかける。今年度内に発売する軽自動車では、7年ぶりに業販店を対象とした説明会や試乗会を開く。三菱自の商品の魅力を体感してもらう機会を設け、取り扱い台数の増加につなげる。

 デジタルツールの導入も進める。人手不足が続く中で生産性を高め、営業スタッフが接客業務に集中できる体制を整えていく。

 五十嵐京矢国内営業本部長は「都市部では、これまで店を閉めてきたこともあり空白地帯がある。アプローチできていない顧客がたくさんいるので、そこに新規出店していく。軽販売では全国の毛細血管である業販店の力を借りなければいけない。例年よりも濃い付き合いをしていく」と語った。