製造過程を含めたCO2削減を急がねばならない(イメージ)

 2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現に向けた部品メーカー各社の取り組みが加速している。カーボンニュートラルへの対応は事業の継続に直結する。自社の事業活動のみにとどまらず、サプライチェーン全体で温室効果ガス(GHG)を削減することで50年の目標達成を目指していく。

 製造業における二酸化炭素(CO2)排出量では、鉄鋼業界がトップ、次いで化学業界となる。双方ともに自動車産業の上流を占めており、クルマづくりに欠かせない存在だ。鉄鋼では還元で使用する炭素の一部で水素を用いる「水素還元」や電炉活用拡大などの技術革新に取り組む。化学ではバイオマス原材料などの活用のほか、顧客向けにカーボンフットプリント(CFP)を算出できる体制を整えつつある。

 素材などの上流と、大手サプライヤーを中心に現在はカーボンニュートラルに向けて取り組みが進んでいる状態。デンソーは、工場の排ガスから回収したCO2と再生可能エネルギーで生成した水素でメタンガスを合成し、燃料として活用する実証システム「CO2循環プラント」に取り組む。CO2の回収率は現時点で8㌧。今後はメタンガスを燃料として発電した電気で水素と酸素を化学反応させる固体酸化物形燃料電池に置き換えたり、メタンガスを合成する水素には固体酸化物形電解セルを導入してエネルギー効率を高める考え。

 日産自動車系サプライヤーのヨロズは、仕入れ先の実態把握や実行計画の策定を支援する。同社が進める脱炭素化の取り組みも共有する。

 日本のCO2排出量における運輸部門の割合は17・7%を占める(20年度)。まずは大手企業から進め、その後仕入れ先などに広げて、業界全体でカーボンニュートラルを達成する必要がある。