次世代半導体の国産を目指すラピダス(小池淳義社長、東京都千代田区)は7月18日、量産を計画する回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)級の半導体の試作に成功したと発表した。正常な動作も確認した。2027年の量産開始に向けて一つの節目を迎え、今後、顧客の確保などがカギを握ることになりそうだ。
北海道千歳市で同日、顧客候補やサプライヤーなど約200人を招いて、試作成功を披露した。技術の進ちょくをアピールすることで、新規顧客の開拓や、今後の資金面での協力を取り付ける狙いだ。
同社は23年9月に現地で起工式を開き、24年12月にクリーンルームの環境を整備。最先端の露光装置を導入し、装置搬入から約3カ月後の25年4月にはパターンの露光・現像に成功している。
全ての製造工程で、ウエハーを1枚ずつ処理する「枚葉プロセス」を採用。同年6月までに、200台以上の最先端の枚葉式半導体製造装置を導入した。搬送システムも独自の最先端のものとし、2ナノの試作を開始。今月には動作も確認した。
同社は併行して、プロセス開発キット(PDK)の開発を進め、今年度中に先行顧客向けにリリースし、技術を評価してもらえるようにする予定としている。
ラピダスを推進する経済産業省は「技術的にしっかり進展し、顧客獲得の取り組みも進んでいる。海外だけではなく、国内でも複数の自動車メーカーや電機メーカー、データセンター事業者などが活用に向けて検討をしていると聞く」(担当者)と説明する。
同社も目標とする27年の量産に向け、スケジュールは順調としている。量産にはさらに3兆円の資金が必要とされるが、民間からの資金調達も「ある程度の目途が立ちつつある」(小池社長)とする。また、量産に向けて「歩留まりを確認し、信頼性を確保する。一歩ずつ検証してチェックしていく」(同)といい、今後は安定的な量産に向けての体制整備に加えて、顧客獲得やさらなる資金調達を進めていく方針だ。