三菱自動車は、2027年にも「RVR」を日本で再び売り出す。東南アジアで販売する「エクスフォース」をベースとした小型SUVを開発し、水島製作所(岡山県倉敷市)で量産する。同社独自のハイブリッド機構の搭載も検討する。商品力を高めた小型SUVを加えて登録車販売を増やす。新型車は輸出も計画しており、日産自動車が検討する自社工場での軽自動車生産に備え、水島製作所の稼働率を保つ狙いもある。
RVRの日本仕様は24年4月に生産を終了した。近く在庫車の販売も終わる見通し。生産終了前の23年はわずか1373台の販売にとどまったが、新車の値上げが広がる中、手ごろな価格のBセグメントSUVを求める声が顧客や販売会社などから出ていた。
新型RVRは、インドネシアで生産するエクスフォースをベースに開発する。ガソリン仕様に加え、ハイブリッド車の設定も検討する。日本のほか、グローバルで展開する見通しだ。ベース車のエクスフォースは5人乗りのSUVで、車体サイズは全長4390㍉㍍、全幅1810㍉㍍、全高1660㍉㍍。
新型SUVの量産により、水島製作所の稼働率も高める。現在、水島製作所では軽と海外向けのRVRのみを生産しているが、海外向けのRVRは販売から14年経過していることもあり、徐々に生産数を絞る計画を部品メーカーに示している。ある部品メーカーの幹部によると「26年度には年間1千台規模(の生産)になる」という。
水島周辺の部品メーカーにとっては将来的な軽の生産減少も懸念事項だ。日産の坂本秀行副社長は先月22日、28年に日産九州(福岡県苅田町)で新型軽電気自動車(EV)の生産を検討していることを明らかにした。確定ではないが、軽が国内専用車であることを考えると、将来的に水島製作所での生産が減る可能性がある。三菱自としては、新型RVRで同製作所の稼働率を一定水準に保ち、国内外のサプライチェ―ン(供給網)を維持していく考えだ。