ノイエ・クラッセのデザインコンセプト
長谷川正敏社長

 ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン、長谷川正敏社長、東京都港区)は、2026年に次世代の電気自動車(EV)を国内発売する。現行のEVよりも航続距離を伸ばせる新しい電動ドライブユニットを採用するなどし、商品競争力を高めた。国内のEV市場は停滞しているものの、輸入車に限れば新車販売台数の10%以上をEVが占めるなど一定の引き合いがある。トヨタ自動車など国産車勢も今年後半からEV販売を本格化するとみられる。EVを積極的に導入してきたBMWジャパンが商品構成を充実させることで、EV市場が活性化する可能性もありそうだ。

 長谷川社長が日刊自動車新聞の取材で明らかにした。商品の詳細は明示していないものの、BMWが25年末までに量産を開始する商品群「ノイエ・クラッセ」の一部モデルとみられる。

 ノイエ・クラッセは新たな高電圧の駆動用電池や、モーターなどのドライブユニットを搭載した商品群。800㌾系の電源システムやエネルギー密度を20%向上した円筒形の電池セルを使用し、航続距離と充電速度を現行のEVと比べてそれぞれ30%改善するという。

 BMW車の伝統的な意匠「キドニー・グリル」とヘッドライトを融合した外装とするなど、デザイン面も進化するとみられる。拡張現実(AR)を用いてさまざまな情報をウインドー上に投影するシステムも搭載する見込み。走行性能と快適性能を高めた新型EVで、攻勢をかける考えだ。

 24年の国内のEV市場(乗用車のみ)は、前年比32.5%減の5万9736台。新車市場全体に占めるEV比率も前年に比べて0.6㌽少ない1.6%で、EVの普及にブレーキがかかった格好。国内メーカーの商品ラインアップが増えていないほか、これまで普及を後押ししていた日産自動車の軽自動車「サクラ」の新型車効果が薄れたことなどが要因だ。

 一方、輸入EVの販売台数は同5.7%増の2万4198台で、外国メーカー車全体の10.7%(同1.5ポイント増)にまで上昇しており、勢いは維持している。BMWジャパンは十分にEVの販売を伸ばせる余地があるとみており、次世代商品の導入と並行して150㌔㍗級の急速充電ネットワークの拡大に取り組むなど、EVの販売体制を改めて強化していく計画だ。