自動運転技術の開発では異業種の参入も目立つ

 自動運転「レベル5」(完全自動運転)の社会実装に向けて政府と民間企業で取り組みが活発化している。政府は、2027年に国内初となる自動運転レベル5の公道での実証実験を計画する。完全自動運転の技術開発では新興企業や異業種からの参入も相次いでおり、地域における自動運転の需要を開拓して新たな商機を狙う。

 自動運転は「レベル0」から「レベル5」まで分かれており、「レベル3」以降は「システム」が中心となる。そして、システムのみによる完全自動運転が実現すれば、少子高齢化や人口減少などによる配送の担い手不足の課題解決や、新たな移動ソリューションとしての活用が期待されている。

 日本政府は、自動運転レベル5の実証実験を横浜市で27年に開催される「国際園芸博覧会」での実施を計画する。国内の自動車メーカーやサプライヤーなど企業の参加を募り、実証実験を通して完全自動運転の社会実装の可否を探る考えだ。

 自動運転の社会実装で、地域課題の解決につなげようと取り組むのは京セラグループだ。京セラ本体は小型自動運転電気バス(EVバス)「トロタ」などの社会実装を実現し、新たな移動サービスの提供を目指す。また、子会社の京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は無人自動走行ロボットによる個人向け配送サービスや移動販売の実証実験を実施した。京セラみらいエンビジョンは現行車ベースの完全自動運転の実現に向けた技術開発を進める。

 スタートアップ企業も完全自動運転車の実現に乗り出した。チューリング(山本一成CEO、千葉県柏市)は、北海道を自動運転車で1周するプロジェクトを実施し、走行距離のうち約95%を自動運転モードで走行した。同社は30年に完全自動運転EVを1万台生産する目標を掲げている。

 自動運転は、ドライバーの運転負担軽減につながるとともに、地域課題の解決にも寄与すると期待されている。