コロナ禍の落ち着きや自動車の技術革新に伴い、用品業界では今年も転換期が続きそうだ。昨年は半導体不足や円安の影響があったものの、業界全体として次世代のニーズを見越した動きが見られた。部材不足は解消傾向にあることから、今年は新製品の流通の拡大に期待できそうだ。

 カーエレクトロニクス製品では、エンターテインメント性の創出に力を注ぐ。昨年は人工知能(AI)やWi─Fi(ワイファイ)機能の搭載など、新技術を活用した製品に注目が集まった。またカーナビゲーションでは、地図や映像を見やすくする10㌅サイズ画面の採用も見られた。コロナ禍の落ち着きに伴い旅行需要も回復していることから、移動中の時間をより良くしたいニーズも期待できる。新車の生産状況という不透明要素はあるが、コロナ禍に伴い中止していた製品の体験会の復活も見込まれることから、新たな機能がユーザーの目に触れる機会も増加しそうだ。

 タイヤ業界では、EV向け製品の開発・販売が加速する。海外市場では、市販用のEV向けタイヤが既に発売されており、各メーカーでは今年も、EVシフトが進む欧州や中国を中心に製品を投入するとみられる。国内向けについては、日本のEV市場の拡大に合わせて導入が検討されるとみられるだけに、海外ユーザーの声を収集し、今後の開発に生かすことが期待される。

 電動化の動きが大きく影響するカスタマイズ業界では、存続に向けた勝負の一年となりそうだ。22年は、日本自動車用品・部品アフターマーケット振興会(NAPAC、高瀬嶺生会長)に、日本自動車スポーツマフラー協会(JASMA)が合流するなど、業界再編の動きも見られた。新車メーカーから続々とEVが発表されていることからも、今後の対策は急務だ。一方で、巣ごもり需要によるカスタムニーズの高まりや、1980~2000年代初頭に発売された〝ヤングタイマー〟人気は今年も継続すると考えられる。電動化を睨みつつも「クルマをカスタムする楽しさ」を伝える業界独自の取り組みが注目されそうだ。