次世代車のコックピットには住空間のような快適性が求められる。写真は「XRキャビン」

 コックピット周りを手がける各メーカーは「安全性」と「快適性」に注目した新たな価値を提供する。車載ディスプレーの大型化が一般化しつつある中で、次の一手を打つべく開発に取り組む。

 電気自動車(EV)の車内装備で目に付くのが、大型液晶ディスプレーの搭載だ。メルセデス・ベンツは新型EV「EQS」などのインテリアに横幅が140㌢㍍に及ぶ大型液晶「MBUXハイパースクリーン」を搭載している。

 自動車メーカーが大型ディスプレーの搭載を積極化する中で、ジャパンディスプレイ(JDI)は新たな付加価値を提供して差別化を図る。同社は、助手席側のモニターを運転席側から見えなくする安全運転支援機能の「スイッチャブルプライバシー技術」を開発した。運転席側と助手席側のディスプレーを一体化した大型ディスプレーに付加価値を加える技術として実用化を目指す。

 コックピットのボタンやスイッチなどの操作デバイスでは非接触化の提案が活発だ。非接触インターフェースの活用によりデバイスを減らし、シンプルなデザインの実現につなげる。

 アルプスアルパインは空中表示や非接触の入力を可能にする「ステルス空中インターフェイス」を開発した。2030年から40年までに車両への採用を目指す。

 同社は、中長期的な自動車の車室空間を想定してテイ・エス テックとも開発に取り組む。両社は昨年11月に「安全で快適、感動を生み出す移動を実現する」車室内を具現化した「XRキャビン」を共同開発した。電力消費量を低減する高効率な速暖空調やデザインと機能を融合したステルススイッチなどの技術を提案する。

 次世代車では自動運転の一般化も想定される。人が車両に身をゆだねる機会が増えれば、車室内においても今まで以上の安全性と快適性の実現が求められると予想される。