2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出ゼロ)達成に向けて大手の部品サプライヤーを中心に方策を模索する動きが広まりつつある。早期実現に向けた機運が高まっている。

 独シェフラーは、40年までにカーボンニュートラルを達成すると発表。まずは25年までに自社生産施設での二酸化炭素(CO2)排出量を19年比で4分の3に抑制し、「スコープ1」(製造活動での直接排出)、「スコープ2」(製造に使用するエネルギーからの間接排出)での達成を目指す。30年までにはサプライチェーンで発生する中間物や原料によるCO2排出量を同25%削減する目標を掲げる。

 プレス工業は、10月に「カーボンニュートラル推進委員会」を設置した。カーボンニュートラルに向けて取り組みを本格化させていく。

 米ボルグワーナーの日本法人は、再生可能エネルギーの導入を本格化する。国内の2工場のうち青山工場(三重県伊賀市)で再エネを取り入れる。太陽光パネルを設置し、発電した電力を工場内で使用する電力として活用していく。同社は、カーボンニュートラルの達成に向けた活動目標を設定しており、国内においては、従業員の意識改革にも取り組んでいく。

 村田製作所は生産拠点での再エネの導入を加速させている。金津村田製作所(福井県あわら市)では太陽光発電と蓄電池ユニットを組み合わせた北陸地方で最大規模の蓄電池システムを導入し、使用電力を100%再エネに切り替えた。同社は50年までに全事業所で使用する電力を再エネとしていく目標を掲げており、早期実現に向けて舵を切る。

 カーボンニュートラルには、業界全体が一丸となって取り組む必要がある。特に2次サプライヤー(ティア2)以下の取り組みも必要で、1社単独での努力では難しく国などの支援も必要となる場面も予想される。サポート体制の構築が急務となっている。