デジタル技術を活用した生産の自動化が進んでいる。生産従事者の労働力確保が難しいことに加え、コロナ禍で省人化や他拠点への生産移管の必要性が浮き彫りになった。そうした背景から生産設備のセンサーを活用した生産の効率化や人手作業の遠隔支援が普及している。

 まず生産の自動化ではロボットをより高精度に制御することが求められる。オムロンはロボットや制御機器、CAD(コンピューター支援設計)を統合制御できるコントローラーを世界で初めて開発。前後の工程を把握して、ロボットが最適な位置で待ち構えるなど、従来のロボットではできなかった高度な作業を自動化する。オムロンによる検証導入事例では、装置パフォーマンスを23%向上させた。

 また、作業支援としてAR(拡張現実)機器の普及が進んでいる。現実空間と掛け合わせることで指導が難しいベテラン作業員の〝暗黙知〟の伝承に用いられている。一方で、ARの導入には機密性の高い生産ラインのデータを外部に提供する必要があるため、AR導入のハードルが高く普及が進んでいなかった。また、従来はQRコードなどを読み解くことでデジタル情報を表示させる方式が主流であることや通信環境を整える必要があるなど課題があった。

 こうした課題に向けて、3DCADソリューションを手掛けるPTCジャパン(桑原宏昭代表取締役、東京都新宿区)はARソリューション「ビューフォリア」を開発。市販のスキャナーで現実空間のデータを取り込むことが可能で、顧客自身がAR空間を構築することが可能。さらにデータの軽量化技術、認識技術を最大限まで高めたことで、部品といった小型の「現物」、床や壁などの「エリア」にデジタル情報を関連付けることを実現した。