実証用自動運転車両(写真は名古屋大学提供)

 IHI、あいおいニッセイ同和損害保険、沖電気工業、名古屋大学、日本自動車研究所、日本総合研究所の6組織は、神戸市の住宅地で、自動運転車両を使った路車間通信の実証実験を開始したと発表した。日本総合研究所が主催する「まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアム」が実施主体となり、住宅地での移動サービス向けの自動運転システムについて、システムが正常に作動するために必要な走行環境条件を検討する。実証実験は16~25日を予定する。

 実験の目的は、自動運転車両が交差点での右折や合流を行う際に、死角からの飛び出しに備えたり、発進・停止や加減速のタイミングを最適化させるために必要とする、車載センサーと道路側センサーの協調の仕組みの検証だ。具体的には、自動運転車両の死角領域を含めた道路側センサーのセンシング状況や精度を評価するほか、自動運転車両が他の車両に不快感を与えずに、安全で円滑な挙動を示せる条件を検証する。これらの評価を、優先道路と非優先道路が交差する十字路2カ所、T字路1カ所の計3カ所の交差点で実施し、信号の有無など交差点の違いによるリスクの差異も可視化する。

 実証用自動運転車両は、名古屋大学が開発した自動運転システムを搭載したヤマハ発動機製ゴルフカーをベース車体とし、運転席と助手席には万一に備え関係者が座る。

 参画する各企業の役割としては、IHIが、一般ドライバー向け安全運転支援システム用として開発した交通流データ収集・分析技術を活用して、実証車両の交差点右折支援を行う。公道に設置したレーザーセンサーが検知した交差点周辺の歩行者の位置・速度情報を、専用の回線を介してリアルタイムで実証車両に通知する。あいおいニッセイ同和損害保険は、運転挙動データや事故時の映像データなどを活用した安全運転促進に関する独自ノウハウを活用し、実証車両の安全かつ安心な走行ルート設計を検討する。

 沖電気工業は、交差点に設置したレーザーセンサーが周辺の歩行者や車両などの交通状況を検知し、通信により実証車両にリアルタイムで通知する走行支援を行う。