新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、石塚博昭理事長)は16日、高速道路の本線への合流を行う自動運転の実証実験を開始したと発表した。内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に基づくもの。道路側に設置したセンサーや無線装置=写真=などのインフラから得る合流支援情報を車両側に提供し、自動運転車の制御に役立てる。自動運転技術の高度化だけでなく、インフラと協調するシステムの確立にもつなげていく狙いだ。

 新たな実証実験は首都高速の羽田線空港西インターチェンジを活用して実施する。自動運転車が一般道から料金所を通過し、本線に合流する流れで行っていく。この間、自動運転車には本線上を走行する車両情報に加え、ETCゲートの開閉状態などのデータをETC2・0の無線装置を通じて送る。車両側はこれを活用して自動で適切な合流を実現していく。

 NEDOによると、一般道から料金支払いを含む高速本線上に合流する自動運転の実証実験は世界でも例がないという。レベルの高い実証試験にいち早く取り組むことで、日本全体の技術水準を早期に底上げしていく。また、道路環境が大きく異なる高速道と一般道を含めた実験となることで、より多くのデータやノウハウの蓄積につなげ、将来的な自動運転の領域拡張にも弾みをつける。

 NEDOではすでに、臨海副都心地域などで信号の灯火色情報を提供するなど、インフラと協調した自動運転の実証実験を行ってきた。今後は、羽田空港地域での自動運転による次世代公共交通システムの試験も行っていく計画だ。