スズキは、世界戦略モデルと位置付ける同社初の電気自動車(EV)「eビターラ」を2025年度内に日本市場へ投入すると発表した。欧州市場のEVをベンチマークに、スズキのものづくり理念「小・少・軽・短・美」や、トヨタ自動車の電動車のノウハウを融合した。日本では海外市場に比べてEVが浸透していないが、スズキはeビターラの投入により、今後拡大が見込まれるEV市場への足がかりを築く考えだ。
7月10日からeビターラ専用サイトで先行情報の公開を開始した。情報は随時更新していく予定で、日本での認知度向上を図っていく。
欧州など海外市場では、SUV「エスクード」をビターラとして販売している。今回は日本でもeビターラの名称で発売する。
eビターラは、全長4275×全幅1800×全高1640mmのBセグメントSUV。2WDと4WDを設定し、電池容量は49kWh(2WDのみ)と、61kWhの2種類を用意した。航続距離(2WD)はそれぞれ400km以上、500km以上を見込む。
降雪地域での利用を想定し、4WD「オールグリップe」を設定する。前後にeアクスルを配置し、緻密な駆動制御を実現したという。悪路走行に対応した「トレイルモード」も設定した。
バッテリーは安全性やコスト競争力を踏まえ、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池を採用した。比亜迪(BYD)傘下の弗迪電池製だ。eアクスルはブルーイーネクサス製を採用。幅を抑えるなど小型化した。EV専用プラットフォーム「ハーテクトe」は、1180メガパスカルのハイテン材(高張力鋼板)の使用率を従来の約2倍まで増やし、軽量化と高剛性を両立した。フロア下のメンバーを廃止することで電池容量を最大化した。
内装には一体型のディスプレイを採用して先進性を表現。ブラウンを基調とし上質感も演出する。
eビターラは、インド・グジャラート工場で生産し各地に供給する。スズキはインドを「輸出ハブ」と位置付けており、日本向けには「フロンクス」や「ジムニーノマド」をすでに供給している。EVでもインド生産のスケールメリットを生かす。
すでに英国では販売を開始し、ノルウェーでも受注を始めている。英国価格は2万9999ポンド(約583万円)から、ノルウェーは33万4500クローネ(約484万円)からに設定している。