ルノーがボロレ氏の解任したのは、ゴーン元会長の側近であり、昨年11月のゴーン元会長の逮捕後、日産との直接の対話を避けるなど、日産側に根強い不信感があるためと見られる。ゴーン元会長の逮捕後にミシュランから移籍したスナール会長にとって、経営体制を一新した日産と資本関係見直しを協議する上で、ボロレ氏が障害になりかねない。ルノーは、クロティルド・デルボスCFO(最高財務責任者)が暫定CEOに就いて今後、正式なCEO選びを本格化するが、日産と信頼関係を構築できる人材をトップに据えると見られる。内田氏をはじめとする新しい経営陣にとっては、トップ就任早々から大きな決断を迫られかねない。

ゴーン元会長が逮捕された際「日産経営陣によるクーデター」との見方が広がり、ルノーと日産の関係がギクシャクした。その後、ルノーにスナール会長が就任してから関係改善に動き、2019年3月に、ルノー・日産・三菱自動車アライアンスのオペレーションを決定する唯一の意思決定機関として、スナール氏、ボロレ氏、西川氏、三菱自の益子修氏の4人で構成する「アライアンスオペレーティングボード」を設置した。アライアンスボードも西川氏、ボロレ氏の2人は交代すると見られる。発足から半年で、メンバー4人のうち、2人が外れることになり、アライアンスのゴタゴタが続いていることを象徴している。今後もアライアンスの動向は予断を許さない状況が続きそうだ。