自動車向け再生プラスチック市場構築に向けての動きが活発化している。静脈産業には高品質な再生原料の生産が求められる。今回はプラスチックリサイクル事業を営むエコロ(埼玉県入間郡三芳町、後藤雅晴社長)に話を聞いた。
自動車バンパーのマテリアルリサイクルはその他部品に比べて進んでいる。その理由として回収網が整備されていることや素材のポリプロピレンが比較的リサイクルしやすい素材であること、最後に単一材であることが挙げられる。逆説的に自動車シートなどの複合材からなる部品はリサイクルが難しいと言われている。現在、建設リサイクル業界で複合材のリサイクル技術を持つエコロが自動車業界を含めた他業界から注目されている。エコロは塩化ビニールフィルムとパルプの複合製品である塩ビ壁紙のリサイクルシステムを開発した。塩ビ壁紙は分離の難しさからリサイクル率は1%しかない。エコロはこの複合材リサイクル事業を強化しており、日本能率協会マネジメントセンター(東京都中央区、張士洛社長)とアライアンスを組み、すでに事業化している手帳カバーの他にも、自動車シートなどの再生化について、複数メーカーとともに調査、実証を進めている。
エコロのグループ企業のエンマジャパンは大手仏リサイクル機械メーカーのENMA社の日本特約代理店でプラスチック破砕機の販売を手掛けている。自動車には多くのプラスチック部品が組み込まれており、解体事業者が使用済み自動車の解体段階でプラスチックを容易に回収できれば、多くの再生プラスチック原料を確保できる。だが、プラスチックは金属資源等と比較すると市場価格が低いことや、回収対象となるプラスチックのかさ比重が小さいことから、一度に輸送できる重量が少なく、解体や運搬にかかるコストに対して、プラスチック回収から得られる収益が低いことが問題となっている。バンパーなどの自動車部品を破砕機でフレークに細破砕することが運搬効率向上に不可欠。直近2年間で解体・破砕事業者からの問い合わせが増加している。破砕機導入に関して経済産業省や地方公共団体の制度を活用することで、補助金や税制優遇を受けることができる。補助金に関する問い合わせも多く士業と連携して最適な補助金の選択から申請書類の作成、資金計画や調整、入金が行われるまでの必要な報告書作成までコンサルティングしており、その採択率は95%となっている。
「新車の易解体性が向上し、部品ごとにどの再生原料が採用できるのかが判明すれば、日本の自動車リサイクルは進む。今後も複数のメーカーと合同で調査、研究しつつ破砕機の販売も含めて日本のマテリアルリサイクルに貢献していく」と後藤社長は述べた。