EVバッテリー評価やOBD診断などを検査領域へ組み込み、発展させているというオークネット。今回は、エネルギーの新たな二次流通と中古車検査基準のデファクトスタンダードであるAIS検査について、有村祐二専務執行役員と大畑智常務執行役員、株式会社AISの福田博介社長に聞いた。
―AISの検査とは
福田「オークネットがTVオークションを開始すると、同社の検査部として発足し、1996年に第三者機関として業界初の車両検査専門会社AISを設立した。現在では共有在庫の検査ニーズも高まり、規模が拡大している。また、メーカー系AAを中心に会場での検査を受託している。さらに、カーセンサーと提携し、『カーセンサー認定検査』として小売車両の検査も行うなど、消費者が中古車の品質や販売店の信頼性を重要視していることから依頼が増加している。今後もニーズが拡大することを見越して人員を増強し、検査領域を広げていきたい」
―エネルギーの二次流通について
有村「中古車・中古バイクの流通ノウハウを活かし、電気自動車・EVエネルギーなど新たな分野の二次流通を加速させるため23年にモビリティ&エネルギー部門を設立。昨年12月にはバッテリーを一定の精度で診断できると判断し、ミライラボと提携した使用済みEVバッテリーの流通プラットフォーム『EnrgyLoopTerminal』(エナジーループターミナル)をリリース。今年の1月からはエネルギー事業本部を設立し本格稼働している。将来的には太陽光パネルの診断や流通、スマートシティの構築など車やバイク以外の領域や、蓄積したデータをAISに展開することで強みにつなげたい」
―EVの検査について
福田「AISの使命はEV化が進む中でバッテリー劣化の基準を確立すること。中古車検査基準だけでなく、バッテリーの劣化基準も確立することができれば、流通に大きなインパクトを与えることができる」
有村「バッテリーは使い方で消耗度合が変わる。バッテリー自体の診断だけではなく、運転のされ方などのデータを取得し、バッテリーの状態を適正に図りたい。他社とも提携しEVを安心して流通してもらえるようチャレンジしていきたい」
―今後の取り組み方針は
福田「AISは流通の肝になるサービスのため、検査の精度をさらに高めていく。今年は検査台数150万台超を目指して中古車流通に貢献したい。また、長期的には海外においてもAIS検査付きだから安心と思っていただけるようAISの評価基準を浸透していきたい」
有村「1対1の線だった会員様とのつながりを変えたい。エネルギー分野において現状はバッテリーをどう扱うかが課題だが、行きつく先は街づくりだと思う。まだ会員様を巻き込む段階ではないが、車の取引だけではなく、一緒に街づくりをするコミュニティーを形成し、国や自治体とエネルギーを地産地消できる仕組みを構築していきたい」
大畑「現状にとらわれず、大きなビジョンを掲げている。今後のオークネットに期待してほしい」