JSファンダリの新潟工場

 パワー半導体の受託製造を手掛けるJSファンダリ(酒井明彦社長、東京都港区)は14日、東京地方裁判所に破産を申請し、破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は約161億円。電気自動車(EV)向けの需要低迷や中国勢との競争に加えて、海外勢とのスポンサー交渉が破談となり、事業継続を断念したもようだ。

 同社は、新潟県小千谷市に半導体工場を構えていた米オンセミの事業を承継するため、投資会社マーキュリアインベストメントや産業創成アドバイザリーの提携で、2022年に設立した。これまでオンセミ向けにパワー半導体を供給するなどしてきた。

 帝国データバンクや東京商工リサーチによると、売上高は23年8月期に約36億4900万円、同12月期(変則決算)に約31億4千万円を計上した。しかし、設立当初から不採算が続いた上、EV市場の低迷や競争激化などの中で販売不振に陥り、24年12月期の売上高は約26億円に低迷し、約67億円の経常赤字を計上していた。

 このため同社では、増資や社債の発行などによる資金調達のほか、スポンサーを模索。直近では、海外企業をスポンサー候補として交渉を進めていたが破談となり、事業継続を断念したという。

 なお、同社の施設を活用して事業を手掛けているサンケン電気は、従来通りの生産を進める見込みだ。

 EV市場が変調をきたす中、パワー半導体各社の業績や経営も大きく揺れている。米ウルフスピードが米連邦破産法11条(チャプター11、日本の民事再生法に相当)適用を申請。関連でルネサスエレクトロニクスは、2500億円の損失計上の可能性を発表し、投資方針の見直しも表明している。

 こうした状況下で、政府の半導体・デジタル産業戦略検討会議でも「これまでの支援案件(ローム×東芝、富士電機×デンソー)もベースに、さらなる国内連携・再編の促進を後押ししていく」としている。今後、半導体各社が事業見直しをどう進めていくかが注目されそうだ。