トヨタ自動車は、2026年春に日本で発売するレクサスの新型「ES」ハイブリッド車(HV)に次世代ハイブリッド機構を採用する。電流や電圧を制御する「パワーコントロールユニット(PCU)」にSiC(炭化ケイ素)パワー半導体を採用し、エネルギー効率を一気に高める。コスト上昇分は構成部品の一体化を進めるなどして相殺する考え。トヨタは、年間500万台近く(25年3月期は444万台)を売る世界最大のHVメーカーだ。トヨタ製HVの燃費向上とともに、SiCパワー半導体市場が本格的に立ち上がる可能性もある。
トヨタのハイブリッド機構は、プラネタリーギア(遊星歯車)を用いた動力分割機能により、エンジンとモーターを効率よく使い分ける「シリーズ・パラレル(スプリット)式」と呼ばれる。燃費が良い分、構造が複雑で制御が難しいが、トヨタは1997年の初代「プリウス」から四半世紀以上かけ、高性能・低価格化を進めてきた。今や一部のHVは台当たり利益で同車格のガソリン車を上回る。現行のハイブリッド機構は2022年のミニバン「ノア」から採用する第5世代。新型ES用のハイブリッド機構は第6世代と位置付ける。
新たな機構は、新型「RAV4」のプラグインハイブリッド車(PHV)の前部に搭載するハイブリッド機構(eアクスル)をベースに開発する。モーターと減速機、DC―DCコンバーター、インバーターを一体化した「4in1」とし、従来より高さを15%縮め、重さも18%軽くする。組み合わせるエンジンは現行型だが、ブロックにリブを追加するなどして剛性を高め、NV(騒音・振動)を減らす。減速機のギアなどメカ部分の設計も見直し、駆動伝達系の損失を軽減する。
中でもSiCパワー半導体の採用は、エネルギー効率を大幅に高める目玉だ。トヨタもこれまでは電気自動車(EV)の一部に採用をとどめていたが、新型RAV4のPHVにも採用し、EV走行距離を6割近く延ばした。
新機構では構成部品を一体化した上、PHVとHVとで共有化することでSiCパワー半導体のコスト上昇分を吸収する。HVの量販効果を生かし、SiCパワー半導体のさらなるコスト低減を目指す。