ハッサーン・エルコーリー最高経営責任者(CEO)

 オンセミのハッサーン・エルコーリー最高経営責任者(CEO)は、都内で記者会見を開き、電気自動車(EV)などに搭載されるパワー半導体の需要について「市場全体はL字型で推移するため、2025年は横ばいで推移するとみている。EV市場の拡大が予想を下回っていてもSiC(炭化ケイ素)パワー半導体はEVとともに成長する」と述べ、EV向けパワー半導体事業を今後も強化していく方針を示した。

 エルコーリーCEOは、自動車生産全体に占める「EV比率は今後も増えるのに加え、EVのパワーデバイスがIGBTからSiCへの移行が進む」との見方を示した。

 オンセミが想定していたほど、SiCを搭載するEVが増えていないことに関しては「SiCが一直線に成長すると考えていない。技術のレベルや金利などの経済的な要因もある。それでも高速充電技術の進化によってSiCに進むのは明確だ」と述べ、EVにSiCパワー半導体の搭載が進むことに自信を示した。

 オンセミは22年に新潟工場(新潟県小千谷市)を半導体受託製造会社のJSファンダリ(酒井明彦社長、東京都港区)に売却したため、国内の製造拠点は会津工場(福島県会津若松市)だけとなっている。日本政府が巨額な補助金を準備して半導体工場の誘致を進めていることに関しては「補助金も重要で、補助金があれば利用するが、フォーカスしているのはどの場所に生産能力が必要かであって、それを考えて投資先を決めている」と述べるにとどめた。

 一方、オンセミはスバルが開発中の先進運転支援システム「アイサイト」の次世代バージョン向けに高性能なイメージセンサーを供給することで合意。エルコーリーCEOは「次世代アイサイトのポテンシャルを最大限引き出すために求められるソリューションを提供していく」と述べた。