トヨタ自動車は5月8日、2025年3月期の決算を発表した。売上高にあたる営業収益は過去最高の48兆367億円(前年比6.5%増)、営業利益は4兆7955億円(同10.4%減)の増収減益だった。国内での認証問題に伴う生産停止やリコール(回収・無償修理)影響があったものの、好調なハイブリッド車(HV)の販売や値上げに加え、第3四半期からの生産回復、営業面や原価改善努力、円安効果などで減益幅を最小限に食い止めた。

26年3月期の見通しは、営業収益が48兆5000億円(同1.0%増)、営業利益は3兆8000億円(同20.8%減)を見込む。5年連続の増収、2年連続の減益となる見通しだ。HVを中心に電動車の販売増を見込むが、円高や「トランプ関税」が減益要因となる。米国の関税影響は、4、5月分として1800億円織り込んだ。

通期の想定為替レートは1ドル=145円、1ユーロ=160円とそれぞれ前期から8円、4円の円高に設定。為替影響だけで営業利益を7450億円を押し下げる。

連結販売台数は、約980万台(同4.7%増)を想定する。関税影響が懸念される北米でも同8.8%増の約294万台を計画する。トヨタ・レクサス車の小売台数は、約1040万台(同1.2%増)を見込み、HV販売を世界で増やしていく。世界生産は同3.3%増の約1000万台。国内は335万台、海外は665万台を見込む。

佐藤恒治社長は決算会見で「とにかく軸をぶらさず、じたばたせず地に足をつけてやることをやる。顧客に近いところでニーズに向き合い、タイムリーに車を届けられるよう、地域に合わせた開発・生産体制を整えていく」と述べ、従来の商品軸・地域軸の経営を徹底する考えを示した。

(2025/5/8更新)