ソニー・ホンダモビリティ(川西泉社長兼COO、東京都港区)は「AFEELA(アフィーラ)」の量産に向けた試作の様子を、ウェブサイトで公開した。米オハイオ州の工場で、ホンダの製造ノウハウを基盤としながら、独自の品質基準による厳格な検査体制を構築。専用ツールなどを使用して調整や改良を重ねている。
試作の様子を披露したのは、量産第1弾モデル「アフィーラ1(ワン)」。舞台は、製造委託先であるホンダのイーストリバティ工場で、「培われてきた自動車生産技術、情熱とクラフトマンシップを持ち、重要な役割を担っている」という。
量産前の試作生産は、品質基盤を築くための重要なステップ。各サプライヤーから届くパーツと車体との適合性、組み立て精度、塗装品質などを検証し、生産現場で量産に向けた品質の実現を追求していく。車体を構成するパネルやパーツ間の隙間をコンマミリ単位以下で調整。各工程では熟練の技術者が一つひとつの部品や工程を丁寧に確認し、議論を重ねながら量産に向けた課題を特定していく。
専用に開発された治具も導入した。エクステリアデザインは、装飾的なラインや誇張された面の抑揚を削ぎ落とし、「滑らかでありながら硬質感と緊張感のあるサーフェスを特徴とする」という。クリーンで光や周囲の環境を反射するエクステリアを実現するために、塗装下地を研磨する独自工程を追加。試作段階では、研磨や塗装の質感を何度も確認し、量産に向けた調整と改良が続けられてきた。量産時は自動研磨ロボットが導入されるという。
担当者らは「求められる品質要件は、非常に厳しいが、35年以上にわたり培った技術とクラフトマンシップで期待に応えていく」としている。
「アフィーラ1」は、8万9900ドル(約1400万円)からの「オリジン」と、10万2900ドル(約1600万円)からの「シグネチャー」を用意している。カリフォルニア州で2025年中に先行発売した後、26年半ばに納車を開始し、販売する州を順次広げていく予定だ。日本でも26年内の納車を予定している。